【後半はネタバレ】映画ハミングバードプロジェクトの感想やあらすじを解説

ハミングバードプロジェクト

先日ハミングバードプロジェクトを見てきました。

ハミングバードプロジェクトは、金融取引をプログラムを使って超高速で行う「HFT(高頻度取引)」を題材にした映画です。

「マネー・ショート」や「マネーボール」で有名なマイケル・ルイス作品が原作の映画なので、そういった映画が好きな人は楽しめるはずです。

今回は、ハミングバードプロジェクトのあらすじや、感想、評判をお伝えします。

前半はネタバレ無しで書きますので、安心してください。

ハミングバードプロジェクトの基本情報

映画「ハミングバードプロジェクト」の基本情報は下記のとおりです。

上映時間 111
製作国 意外にも米国ではなくカナダ&ベルギー製作の映画です。
監督・脚本 キム・グエン
製作 ピエール・エヴァン

主なキャスト

ジェシー・アイゼンバーグ
アレキサンダー・スカルスガルド
サルマ・ハエック
上映館

23区内だと、TOHOシネマズ(日比谷、錦糸町、西新井)、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷、ユナイテッドシネマ豊洲。

全体的にミニシアター系での上映ですね。

すべての上映館は公式サイトからどうぞ。

ハミングバードプロジェクトのあらすじ

NY証券取引所

ハミングバードプロジェクトは、NYの金融機関で働くヴィンセント(ジェシー・アイゼンバーグ)と、その従兄弟アントン(アレキサンダー・スカルスガルド)が、NY証券取引所とデータセンター間1,600キロに光回線ケーブルを設置することにより、従来よりも0.001秒早い金融取引のネットワーク回線で一攫千金を狙うという物語です。

舞台は2011年のニューヨーク。サブプライムバブルも弾け、コンピューターを使った金融商品の超高速取引が盛んになり始めた時期です。当時は規制も緩かったようで、各社がスピードを競っていたようです。

詳しい説明は劇中でも語られますが、超高速で株の売買注文を出すことで、他のトレーダーを出し抜いて、巨額の利益を出すことができます。

ヴィンセントとアントンは、どこよりも早いネットワーク回線を構築することで、年間500億円以上の利益を生み出すハミングバードプロジェクトをはじめました。

しかし、1,600キロメートル以上の距離に直線の光回線ケーブルを引くとなると、巨額の費用がかかるのはもちろん、様々な障壁が現れます。

たとえば、1万人以上の土地所有者との買収交渉、開発工事が困難なアパラチア山脈の存在、ライバル会社との競争、資金調達をお願いするスポンサーとの調整、現場スタッフとの軋轢などなど。

何百億もの利益のために次々と降りかかる困難を乗り越えようともがく様子も見どころながら、0.001秒のために、「ヒト、モノ、カネ」を湯水のごとく使っていく狂気を描いた作品です。

ハミングバードプロジェクトの予告動画

公式の予告動画は下記です。

 

ハミングバードプロジェクトの感想

ハミングバードプロジェクトの口コミ

ここからはネタバレを含みますので、未視聴の方はお気をつけください。


①マイケル・ルイス作品という感じ

ハミングバードプロジェクトは、「良くも悪くもマイケル・ルイスの映画だなぁ」という感じでした。

個人的には倫理をガン無視するヴィンセントがその姿勢を貫き、金を手に入れ、その後に何らかの容疑で逮捕され、一文無しになるという映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のような展開かと期待していました。

しかし、実際は、ライバル会社に出し抜かれ、巨額の金を使った挙げ句パーになるという展開だったところが意外であり、個人的にはモヤモヤが残る終わり方でした。

金に物を言わせて、秘密保持契約で縛った作業員を大量に雇い、国立公園の山脈や河川、森林、住宅地を直線の光回線ケーブルを敷設していくヴィンセントは痛快だった分なおさらです。

ただ、ハミングバードプロジェクトは、ただの娯楽コンテンツではなく、社会派映画です。

金を湯水のごとく使い、環境を破壊し、昼夜問わず働き、愛する家族との時間、さらには胃がんを患う身体で、文字通り命を削りながら進められるハミングバードプロジェクト。

そんなプロジェクトに対してこんな疑問を投げかけます。

  • 0.001秒早い株取引のためにこんな多大な犠牲を払うってなんだか馬鹿らしくないか?
  • どうせ1~2年後にはもっと早い回線が確立されて無用の産物になるのに意味があるのか?
  • 膨大な労力と金をかけて、社会のため(レモン農家)のためになるのか?
こういった疑問です。

マイケル・ルイスの「マネー・ショート」とまさに似たような問いを投げかけます。

労働者と比べ資本家の豊かさは加速度的に増していくと問いたトマ・ピケティや、1%の富裕層が果実を分けていないと主張したウォール・ストリートのデモを彷彿とされる作品でした。

広告宣伝ではコミカルさや一攫千金感を全面に出しつつ、映画の結論としては、決して明るい雰囲気ではなく、金融風刺という感じですね。

②ベンチャー企業の立ち上げと全く同じ

劇中では、細かい金融面の話はそこまで語られませんでした。

バーの店員に対してアントンが、超高速取引によって儲かる仕組みを解説している場面がありましたが、そこまで踏み入った説明はしていません。

ストーリーとしては、金融要素にそこまで踏み込まず、それぞれの人間関係や働くことの意義といったテーマを描きたいように感じました。

そのため、これは金融要素よりも、新規ビジネスを立ち上げるベンチャー起業家の要素が強いと感じます。

ヴィンセントは、新規事業に出資してくれるスポンサーを見つけ、口説き、資金調達します。

これは、起業家がベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から資金を調達することと全く一緒です。

また、信頼できる技術者であるアントンと、実績のある現場監督を口説いて仲間にします。

これは、IT企業でいうと、技術の最高責任者であるCTOと、現場のオペレーションを統括するCOOを仲間にするのと同じです。

その後、1万人の土地所有者、数百人の作業員と利害を調整しながら、1,600キロの直線ケーブルという「プロダクト」を突き進めます。

追加の資金調達や、アルゴリズムの改善、ライバル会社との競争、ドリルが通らない岩盤と様々な障壁を乗り越えるのは、ベンチャー起業家と同じです。

そういった障壁を乗り越えた先にあるのは、本作では超高速取引による巨額の利益ですが、ベンチャー起業の場合、新規上場によって得られる株式の巨額の売却益に代わるだけです。

そういう点で、ハミングバードプロジェクトは、起業やベンチャー企業に興味がある方も多いに楽しめると思います。

③直線の光回線ケーブルの先には何があるのか

ヴィンセントは幼少の頃から父が厳しく、脇目も振らずまっすぐに目標に向けて努力するという思考が刷り込まれています。

しかし、こういった直線の先には一体何があるのでしょうか。

ハミングバードプロジェクトでいう直線の先には、NY証券取引所、ひいては超高速取引による年間500億円の利益があります。

その目標に向かってヴィンセントは自分の命を犠牲にしながらも、脇目も振らず進むわけですが、失敗してしまいました。

しかし、その過程で出会った仲間や成長にも価値があると説かれますが、これは、あらゆる人の人生の目標にも同じことが言えると言っているように思えます。

誰もが持っている人生の目標、これに向かって自分の命、時間を投下しながら、脇目も振らず努力する人が大勢います。

その直線の先にあるものは、人それぞれで、俳優としてのデビューだったり、起業家による自社のIPOだったり、家族と丘の上の一軒家で過ごす時間だったりするわけです。

しかし、ほとんどの人は当初思い浮かべた「直線の先」を実現することはありません。

様々な障壁とぶつかったり、関係者との交渉や、ライバルとの戦いによって、「直線」が曲げてしまったり、止まってしまったりして、「直線の先」まで届きません。

でも、そうやって自分の「直線の先」に進む過程で経験することも、人生においては意味のあることだと教えてくれているように感じました。

ハミングバードプロジェクトの評判・口コミ

ここまでは、自分の感想を書いてきましたが、一般的な評判も悪くないようです。

たとえば、下記のような口コミがあります。


ハミングバードプロジェクトの原作

ウォールストリート

ハミングバードプロジェクトの原作は、マイケル・ルイスの「フラッシュ・ボーイズ」です。

とはいえ、原作の内容をそのまま映画にしているわけではなく、映画オリジナル部分が結構あるようです。また、実話の部分もあります。

ライバル会社の陰謀や登場人物などはすべてフィクションですが、実際に超高速取引のために、NY証券取引所と先物取引の中心地シカゴを光回線で実際に結んだ「スプレッド・ネットワークス社」という実在の会社を元ネタにしています。

当時はシカゴとNY証券取引所の間に敷設してあった通信ケーブルは、鉄道路線に沿って敷設され、大きく蛇行していたそうです。そこで「スプレッド・ネットワークス社」が直線の光回線ケーブルを使うことで、通信の安定と速度を獲得し、利益を得ていたとか。

マイケル・ルイス作品は自分も原作で読んだことがあり、金融に多少明るい人は、一度読んだら止まらない面白さがあるので、興味がある人はどうぞ。

一方で、金融についてそこまで詳しくないという人にとっては、原作は難しく挫折する可能性が高い気がします。

まずは「マネー・ショート」や「マネーボール」といった有名な映画から楽しむのが良いかなと思います。

以上です。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。